設立の趣意
今日、わが国は経済力および技術力の面で国際社会をリードする国の一つとして、責任ある地位を占めるにいたりました。そして今後は、自らの発展基盤を強化していくとともに、その地位にふさわしい国際的役割を果たしていくことが求められております。また、現代においてはすでに、科学技術が社会のすみずみまで深く浸透し、社会の科学技術に対する依存度はきわめて高いものとなっており、この傾向はさらに進むものと思われます。したがって、社会経済の一層の発展を実現し、より豊かな社会を築いて行くうえで、科学技術が果たしうる役割および科学技術に対する期待は、ますます大きくなっており、科学技術の研究開発の重要性が一層高まっております。
とくに、わが国および先進諸国においては、高齢化社会への移行にともなっていろいろな問題が発生しつつあります。労働力人口の減少がその一つでありますが、これへの対処の手段として、生産部門、サービス部門の別を問わず、より高度な省力化、省人化、自動化などの科学技術への期待が高まり、その研究開発の推進がますます重要となっております。また、高齢者の保健福祉の維持向上という問題が生じておりますが、これへの対処手段として医療、介護、心身機能の維持あるいは補完の効率と質を高めるための科学技術の研究開発が不可欠となっております。
他方、わが国に対する期待に応え世界各国との相互発展に貢献するためには、世界各国との積極的な科学技術情報、人材および技術の交流を促進する必要性がますます高まっております。このような情勢に鑑み、御器谷科学技術財団を設立し、科学技術の研究開発への助成、および国際交流への助成などの事業を行い、より広く社会経済の発展と福祉に貢献することといたした次第であります。